歌いたい、歌手になりたいという人は、以外と多くいます。でも、それって、ポップスとかジャズ、ロックのこと?
現代は、『マイク(拡声器)』というものがあるので、そんなに練習して身体をきたえなくても、持ち声が良く、音がきちんととれ、歌いまわしができれば、ポップス、ジャズ、ロック等は、自分の癖のまま歌うことができます。モノマネなんていうのは、ポップスやジャズ、ロック歌手等のそれぞれの癖をまねしたものです。
それに比べて、クラシックの発声法が偉い、と言いたいわけではありません。オペラやクラシックの歌手のモノマネをする方がいらっしゃると思いますが、そうです。同じような発声の型にはめていくのです。だから、ポップスやジャズ、演歌等を歌う方に、オペラ歌手の発声法は必要ないと思います。
オペラでは、マイクを使わず、オーケストラ全部の音をつきぬけて声をホール中に響かせる必要があるので、アスリートのように身体の筋肉を鍛えていく必要があります。ヴァイオリン1本の音を生で聴いたことがある方ならわかると思いますが、1本でもそれなりの音量が出ます。それなのに、オーケストラでは、ヴァイオリンだけではない弦楽器何十本からの音があり、そこに管楽器や打楽器が入ってきます。そこをつきぬけて、マイク無しで声を響かせるのですから、それなりの声のボリュームが必要になります。しかも、ひと声だけ、ただどなったりするわけではありません。音を外さないだけではなく、感情表現をし、美しい響きや身体の動きが必要とされます。さらに、日本人には壁となる言葉の問題を乗り越えなければなりません。ある意味、職人芸ですよね。
偉そうなことを書きましたが、さぼりながらやっているので、私はいまだに発声ができていません。でも、『できないからこそ挑戦する』という楽しさだけは味わっているような気がします。
ちなみに、プロのオペラ歌手でも、自分の癖が見えなかったりすので、先生についていらっしゃることが多いです。オリンピックに出ているアスリートにコーチがついていますが、あんな感じです。
*YouTubeは、オペラ『カバレリア・ルスティカーナ』の間奏曲です。